胃・十二指腸潰瘍の原因となることで話題となった胃の中に住み着いている細菌です。もともと胃の中には胃酸があるため細菌は住めないと言われていたのですが、自ら胃酸を中和する物質を産生することにより胃の中でも生存することができます。胃の中から発見されてその発見者が猛烈な胃炎となったことよりにわかに注目を集めました。最近では胃癌の原因としてWHOより発癌性を指摘されています。ピロリ菌が住み着くことで、胃の粘膜に持続的に炎症が起きてその結果胃の粘膜が萎縮することにより、胃癌が発生すると考えられています。ピロリ菌がいる人と、いない人とでは胃癌の発生率に大きな違いがあり、ある種の悪性腫瘍(胃悪性リンパ腫)ではピロリ菌を殺すことによって腫瘍が治ったとも報告されています。またピロリ菌を殺すことでその後の潰瘍の再発率に大きな違いが見られ、これ以後潰瘍の治療法が大きく変わりました。ピロリ菌の診断にはいろいろな方法があり、その治療も含めて健康保険が適用となりますので潰瘍でお悩みの方は一度当院でご相談ください。